さわ

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今回は忘れずに出してすぐ告知にしきた えらい こっちだけの人あんまいらっしゃらないけど新作です。どうぞよしなに🙇

忌漂♂WOにて展示していた三作品のうち、二作品をPixivに再録しました。(一本目のお知らせをここでし忘れていました) 三本目も近日中に再録予定です。

忌漂♂Webオンリー出るし、ペーパーアンソロにも参加させて貰うことになってるけど忌漂♂どころかメッチョ作品すらひとつも出したことないので、なんか、あの、Webオンリーで展示予定の忌漂♂の導入載せておきます……ね………… 怪しいものじゃ……ないです……ポッと出がすいません……

 ――いつか俺も故郷に帰れなくなったら……ここに「如故」を植えてほしい。
 そう言った長身の男に、俺はわかったとしか返すこと出来なかった。本当はもっと言いたいことがあった。そんな日は来させない、と。そう思っていたから。しかし夜帰軍の将軍であり軍医でもある彼にそんな言葉は戦場での慰めにならないのでは、と思った。
 俺は、あの時なんと伝えるのが一番よかったのだろう。
 ずっと、そんなことを考えていた。


「おや? そこにいるのは……漂泊者さんでしたか」
 名を呼ばれ、男は振り向いた。黒髪が視界に揺れるのを少し煩わしく思いつつ、声の主を見る。そこには知り合いであるモルトフィーがいた。
「モルトフィー? こんなところで会うなんて、珍しいね」
「まぁ、そうですね。……研究が煮詰まってしまいまして。ずっと研究室で缶詰になっていても頭が回らないだろうと相里に言われたんですよ。外の空気でも吸ってこい、と」
 要は追い出されてしまったらしい。モルトフィーらしい返しに少し笑いがこぼれた漂泊者はあなたらしいなと言う。
「研究って、なんの研究か聞いても大丈夫?」
「あなたなら、伝えても大丈夫でしょう。実は最近、北落野原で異常な周波数を観測しまして。と言っても、ご存知の通りあの辺り一体は昔戦場となっていたこともありそういった異常は珍しくはないです。この瑝瓏の中でも比較的溯洄雨も降りやすいですし。しかし……どうも、妙でして」
「というと?」
「多分、周波数的にはまたソノラが生成されているのだと思うのですが……それが、察知できるのがほんの数秒だけで、すぐに消えてしまうんです。そしてしばらく経つと、全く別のところで全く同じ周波数を感知するんです」
「それは……珍しいこと、でいいんだよね?」
 この世界に来てまだ日の浅い彼はこういった残像やソノラなどといった事柄には疎い。故に、確認の為に聞いたのだがモルトフィーの眉間の皺が寄る。
「過去にこういった事例はあります。しかし、漂泊者さんの言う通り発生数は少なく、結局原因不明のままいつの間にか消滅したり、運よくそのソノラを目視してもやはり終秒しか存在しないからか追えず仕舞いなことが八割です。残りの二割はなんとか解決したものの、この事象の規則性までは不明という結果に終わっているんですよ」
 ため息まじりにそう言う彼の表情には苛立ちが含まれており、きっと研究所内でもずっとこの顔でパソコンなどと向き合っていたのだろうなと想像ができた。相里が気分転換をすすめるのも納得である。
「大変そうだな。何か、力になれることはあるか?」
「いえ……正直、規則性も何もわからない状態のため私たちでさえお手上げ状態です。でも、そうですね。もし北落野原に行くような機会があればそういった事象が今現在起きているということを頭に入れていただければ。何か違和感などを覚えた時には、ぜひ連絡を」
「わかった。そうする」
 ここ最近は何か用が入っているわけでもないし足を向けてみるのもいいかもしれないと考えながら頷くと、ああ、と思い出したようにモルトフィーが口を開ける。
「それと、その際によければ忌炎さんのことも気遣ってくれませんか」
 予想外の名前が彼の口から飛び出してきて、漂泊者は目を丸くした。しかし、確かに北落野原の近くにある駐屯地に常駐していることの多い忌炎もまたこの話を耳に入れているのだろうと思い直す。彼は心配性、と言われるとまた違ってくるが、それでもいろいろな物事に対して先回りして行動することが多い。時折奇妙なこととして夜帰の仲間内で噂されていることの大半が、彼の手腕によるものだった。そんな彼が今回のことを知ればきっといろいろと気を揉んでいるだろうなと考えた漂泊者は素直に頷いた。
 しかし、モルトフィーが続けた言葉は全くの予想外のものだった。
「彼、最近少し不調気味なのか一昨日に行った健康診断でのオーバークロック診断の数値が少し不安定だったんですよ」
「え? 忌炎が?」
「もとよりグラフにしたときの共鳴周波数の上昇と下降速度が極めて速い方なので、あまり安定的ではないんです。周期性もないのもあって、むしろ不安定な方です。なので定期的な健康診断とメンタルケアを勧めているのですが……あの様子ですと、健康診断は行ってもメンタルケアまでは手が回っていないのでしょうね」
 漂泊者は思わずポカンと口を開けた。絶句、とまではいかないがなんと声をかけたらいいのかがわからなかった。漂泊者から見た忌炎という男は、そのようには見えなかったのだ。しかし、とも思う。あの競渡会の日の別れ際見せた彼の姿は、自身よりも一回り大きい男だというのにどこか儚くも見えた。
「……わかった」
「助かります。忌炎さんは、あなたには気を許しているようなので」
 そうだろうか、と首を傾げた。確かに彼と話すことは多々あるし、競渡会以降も何かと共戦したこともある。だが、そこまで特別何かをしたことはないと思うのだが、と疑問に思っているとモルトフィーは片眉を上げた。
「あなた方は、かなり仲がいいと思っていましたが……まぁ、いいでしょう。あちら側に行くことがあれば留意してほしいだけですので。さて、私はそろそろ研究室へ戻ります。いい息抜きになりました。お付き合いいただきありがとうございます」
「こっちこそ。研究、頑張って」
 眉間の皺がいつの間にかなくなっていたモルトフィーの言葉通りいい息抜きになったようだ。彼と別れた漂泊者は北へと歩き出した。
「んあ? 北落野原に行くのか?」
 いつの間にか起きていたらしいアブが右手の声痕から話しかけてきた。
「うん。あと……忌炎にも会おうかなと思って」
「ふーん、よくやるよな。ま、我は興味ないから寝るぞ。何かあったら起こせよ」
「わかった」
 早寝に定評のあるアブは本当にもう寝てしまったらしく、もう気配がなくなった。相変わらずだなと苦笑を浮かべた漂泊者は北落野原――否、石崩れの高地にある夜帰軍の駐屯地へと向かった。

 モルトフィーと会ってから翌日。駐屯地に着いた漂泊者は目的の人物を探すべく周囲を見回し歩いていた。すると自身の名を呼ぶ声が聞こえてきた。
「あれ? 漂泊者さん?」
 振り向くと、そこには幾度かこの駐屯地で会ったことのある男が立っていた。彼はこちらまで駆け寄ると、わざわざこんなところまでどうしたんですかと聞いてきた。
「忌炎に用があって来たんだが……もしかして、ここにはいないのか?」
「将軍ですか? 将軍は確か、今北落野原で巡回をしてて……もしかして急用ですか?」
「いや、そういうわけではないんだ。ただ、モルトフィー……華胥研究院の研究員から少し気になる話を聞いて」
「モルトフィーさん……ああ、あの赤毛の! ってことはもしかして、例のソノラの話ですか?」
「んん……まぁ、それも含まれるかな。でも事前に連絡を取っていたわけでもないし、出直すよ」
「え、でも予定だともう少しで帰ってくるはず……ええと、あと十分くらいですかね」
「そうなのか?」
 首を傾げながら聞けば目の前の男は大きく頷いた。漂泊者は少し考えるように顎に手を置いたあと、顔を上げた。
「じゃあ、少しだけここで待っていてもいいだろうか」
「大丈夫です! あ、今椅子用意して来ますね!」
「いや、大丈夫……って、もう行ってしまった……」
 あまりの身のこなしの速さに思わず呆然としているとあまり間を置かずにパイプ椅子を持って戻ってきた。どうぞ! と張り切って言う姿にそういえば彼は何かと自身を拝めているような言動をしていたなと思い出した。わざわざ持って来てくれたのだから無碍にすることも出来ない、と考えた漂泊者は笑って男の好意に甘えることにした。
 じゃあ俺は仕事に戻りますので、と言う男に邪魔をしてしまったかと内心反省しながら頑張れと鼓舞し男を送り出した。
(暇になってしまった……)
 十分程度とはいえ何かと動き回ることの多かった漂泊者は手持ち無沙汰になり戸惑う。何をして時間を潰そうかと考えていた漂泊者はふと腰に感じた硬い感触が邪魔に感じ、ぶら下げていた瓢箪を手に取り膝の上へと置いた。
 ちょうどいいし音骸の整理でもしようかと考えた彼だったが、太陽の傾きにより柔らかな陽射しを受け思わずあくびを漏らした。そういえば、今日は忌炎のことが気になったこともありいつもよりも睡りが浅かったことを思い出した彼は、途端に襲ってくるようになった睡魔から抗うように瞼を擦る。しかしその仕草はむしろ眠気を増長させた。眠れるほどの時間はないというのに、と。そう思っていたのだが彼の抵抗虚しくいつの間にか瞼が落ち切っていた。


「あっ、忌炎将軍!」
 いつもの巡回から戻って来た忌炎は出迎えてくれた調査員の一人に名前を呼ばれ足を止めた。
「どうかしたか?」
 自分が不在の際に何かあったのかと問えば、男は少し慌てた様子で口を開いた。
「いえ! 何か問題があったとかそういうのではないのですが……しかし、その。漂泊者さんがいらしてまして」
「漂泊者が?」
 予想外の名に少し驚いた表情を浮かべると、目の前の男が頷く。
「華胥研究院の者から気になる話を聞いたとのことで、将軍に会いに来たようです。例のソノラのことも耳に入れていたようですので何かしら相談しに来たのかもしれません」
「なるほど、そういうことか。漂泊者のところまで案内してくれるだろうか?」
「もちろんです!」

初の忌漂♂でありがちなネタを書いてみました。1日クオリティなので、かなりつたないですが……。(その割には数日寝かせて何も直してない)アイテムとしては、つば有りキャップを使うパターンが多いのかな。 うちの現パロ忌漂♂の漂くんは猫ちゃんだし、忌さんはスパダリセ〇ムです!漂くんがパーカー付きフードを着ていない場合のために、キャップを隠し持ってたら、それはそれで面白い(笑)。ほら、忌さんはセコムだから。 #忌漂♂

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