綺想編纂館(朧)

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綺想編纂館では、日常にふと映り込む綺想を遊び心と織り交ぜて編纂しています。紳士・淑女の皆様の心の琴線に少しでも触れたら幸いです。過去の物語への感想も大歓迎。お気軽にお声掛けください。 【近況:3/21で13周年を迎えました!7月は文披31題を開催中です!】 X x.com/Fictionarys 編纂者:朧(おぼろ) *投稿物の転載・複製・AI利用を含む使用禁止

ふらっとぺらっとPage7委託参加者募集中! ありがたいことに本も雑貨も募集数を上回るお申込みをいただいておりますため抽選での参加者決定が決まっておりますが、申し込み期限は8月9日です。 まだまだ受付期間内。お申込みお待ちしています。 ご都合のよいタイミングでお申込みください。(羊森) お申込みは下記リンクから。 内容ご理解の上、お申込みください。 furapera.wixsite.com/furapera7/it... #ふらぺら

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【文披31題 お疲れ様でした!】 完走した方はもちろん、 飛び石参加の方も、 1回参加の方も、 1ヶ月間お疲れ様でした! こちらの #文披31題に参加中 では参加した感想や作品の裏話などもぜひ! 8月は読者としてもさまざまな作品を楽しんでいただけると嬉しいです! いいねや感想は作家さんの励みになりますので是非。

Day31.花宵 #文披31題 #140字小説 朧月が霞む夜空の下、満開の桜と花吹雪。こんなに美しい花宵に、言葉もなくして2人だけ。どんなに心に刻んでもいつか忘れてしまうなら、いっそこの景色ごと絵に閉じ込めてしまおうか。絵の具の上から色を重ねる花びらごと、スケッチブックに塗り付ける。例え今宵が最後でも、またここで逢えるように。

Day30.びいどろ #文披31題 #140字小説 ここの夜市にはびいどろの店が出る。びいどろは丸くて手のひらに収まるくらいの大きさで、一つひとつ模様が違う。中にはさまざまな季節の音が閉じ込められており、光を反射した時に耳を澄ますと微かにその音が聞こえてくるのが面白い。音を選ぶこともできるが、あえてわからないものを選ぶのも一興だ。

Day29.影 #文披31題 #140字小説 街の中心から離れたところにある仕立て屋は、晴れた日の夕方にしか開かない。影を採寸するには夕日が必要だからだ。影は持ち主に合わせて形を変えてくれるが、裾が短くなったり擦り切れたりした時は仕立て直しが必要になる。ぴったりに仕上がったその心地良さは、影を仕立て屋に出した人しか知らない。

Day28.宇宙旅行 #文披31題 #140字小説 宇宙旅行には星間を案内する専門家が同行するのが決まりになっている。星図を見ながら空の流れを読み、船の安全運行を支えるのが仕事だ。今回も星空を渡った船が無事に地球の港に戻る中、ようやく息をつく。さまざまな星を見てきたが、やはり地球の水平線から朝日が昇るこの景色が一番好きなようだ。

Day27.相性 #文披31題 #140字小説 旅先で「相性屋」をしているという人と出会った。相性といっても恋愛ではなく、主に物や場所との相性を見てくれるらしい。試しに見てもらうと「本との相性がいい」というので一冊の本を買って帰路についた。その本に書かれていた土地へ行くことになり、人生を変える出会いをするのは、まだ少し先の話。

Day26.ギラギラ #文披31題 #140字小説 真夏の太陽から零れた日差しの欠片を集めている。だいたいは他の季節の気温調整に使うのだが、最近のものは純度が高すぎて使いにくいのが玉に瑕だ。ギラギラと輝く欠片は取り扱いに注意が必要で、うっかり落として割ってしまうと気候が大変なことになる。例えば、この場所の今日の最高気温のように。

おやつの時間から参加です! ちょっと贅沢に、誕生日プレゼントでいただいた美しいお菓子を。 こちらは牡丹の花を模した「牡丹花酥」というもので、中国の伝統焼き菓子だとか。 セットでいただいた白龍珠のお茶を添えて。 #テレッテレー

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Day25.揺らぐ #文披31題 #140字小説 人の心が揺らぐ日は、どうやら空も揺らぐらしい。夕焼けが終わりかけの夜空に浮かんだ一番星を見て思い出すのは、君の揺れる瞳と、心を揺らす言葉と、揺らぐ空。真っ直ぐにのびる飛行機雲のような君の言葉は鮮明に思い出せるのに、どうにか返した言葉は曖昧な色に染まる景色に音もなく溶けてしまった。

Day24.タイムカプセル #文披31題 #140字小説 未来の自分から送られてきたというタイムカプセルを受け取った。いまだに半信半疑だが、宛名の筆跡を見ると紛れもなく自分だ。試しに箱を開けてみると中は空っぽで、知らない花の香りと微かな波音だけが聞こえた。あれから海を見るたびに思い出すが、いつかあの未来にたどり着いたらわかるのだろうか。

Day23.怪盗 #文披31題 #140字小説 その怪盗は名前を盗む。「今は誰にも呼ばれなくなった名前」だけを。子どもの頃のあだ名、幼少期の愛称、昔の仕事上での役職。そんなもう呼ばれない名前たちが消えてしまう前に、盗んで保管しているのだという。たまに再び呼ばれるようになった名前が抜け出しているが、笑って見逃しているという噂だ。

Day22.楔 #文披31題 #140字小説 街の時計塔の地下には、1本の楔が打たれている。もし抜けると昨日も今日も明日も区別がつかなくなってしまうらしい。楔を打ち直すのは年に1度だけ。その間に時間が解けてしまわないよう、時計塔の管理者は真夜中の鐘を合図に楔を確認するのが日課だ。今日も日付変更の印をつけて、ようやく明日が来る。

Day21.モーニングセット #文披31題 #140字小説 落ち込んだ翌日は、この喫茶店でモーニングセットを頼むことにしている。カウンターに座ると、マスターは「いただきますって言って1日が始まれば、いろんな味を楽しめるからね」と、どこか哲学的なことを言いながらトーストと珈琲を出してくれた。今夜は良い気分で「ごちそうさま」が言えますように。

Day20.渡り鳥 #文披31題 #140字小説 人の夢を渡る鳥の羽は、角度によって光の反射が変わる不思議な色をしている。その理由は、羽根の1本ずつに旅の記憶が残っているかららしい。ただ、この鳥がなぜ人の夢を渡るのかはまだ解明されていない。ふと、渡り鳥が落としていった羽根を拾い上げて日に透かすと、誰かの夢の欠片がキラリと光った。

Day19.つるつる #文披31題 #140字小説 記憶は何度も撫でているうちに肌触りが変わる。素直に受け止められなかった言葉も、引っ掛かったままの複雑な想いも、長い時間を経て角が取れるとつるつるになる。そして磨かれて思い出になると、いつか輝く星になるらしい。星空を見上げて懐かしく感じる夜は、思い出が会いに来ているのかもしれない。

Day18.もう二度と #文披31題 #140字小説 もう二度と会えない「おやすみ」と、もう一度やってくる「おはよう」を繰り返して季節は巡る。毎年よく似た春夏秋冬が順番に過ぎ去るけれど、見送る時にほんの少しの寂しさが混じるのは、引き留めようのない「さよなら」がそこにあるからだろうか。雨に紛れて眠りゆく春を見送って、夏の目覚めを待つ。

Day17.濃霧 #文披31題 #140字小説 濃い霧が世界の輪郭を曖昧にする朝、湖へ小さな船を出す。真っ白に煙る視界の先には郵便ポストがひとつだけ。誰が誰に宛てたかわからない手紙を預かって、ここに投函するのが僕の仕事だ。手紙の束をポストに入れると、静寂の中にコトンと微かな音が聞こえる。どうか「誰か」にきちんと届きますように。

Day16.秘密基地 #文披31題 #140字小説 子どもの頃の秘密基地にはいつも夏の欠片が転がっていた。河原で見つけた丸い石、夏色のサイダーの空き瓶、ビー玉に閉じ込めた入道雲と青い空。そういえば、最後の夏休みに宝物を入れたあの缶はまだあの場所に埋まっているのだろうか。記憶を辿りながら探してみたが、不思議と入口は見つからなかった。

Day15.ラナンキュラス #文披31題 #140字小説 長いこと誰も住んでいない古い洋館の庭には、毎年ラナンキュラスが咲く。今となっては誰が住んでいたのかもわからないが、幾重もの想いと花びらを重ねながら風に揺れている様子は、誰かを待っているかのようだ。この時季になるとなぜかそのラナンキュラスが見たくなるのは、なんとなく秘密にしている。

Day14.卵 #文披31題 #140字小説 ある店では時間の卵を売っている。中には特別な時間が入っていて、自然に割れるまで詳細は不明。だが、大切に保管するあまりその場所を忘れてしまう人が多いのも事実だ。見つけた時にはだいたい卵は割れていて、いつが特別な時間だったのかわからないというが、私の卵はまだ割れる気配がなさそうだ。

Day13.くりかえし #文披31題 #140字小説 毎日くりかえしている当たり前の出来事を点検するのが「繰返使」の仕事だ。例えば、朝日が昇って朝がきて、日が沈んで夜が来るとか、季節が順番どおりに巡るとか。昨日と同じように見えても少しずつ変化する現象を、日常の範囲に収まるように少しだけ調整している。何気ない日常が、明日も続くように。

Day12.謂はぬ色 #文披31題 #140字小説 青い台詞に赤い嘘、色とりどりの言の葉に惑わされて、落ちた沈黙は謂わぬ色。眩しい日差しに夕焼けを一滴だけ垂らしたようなその色を見ると、あの日のことを思い出す。沈黙は金というけれど、押し込めた小さな赤が埋み火のように消えないままで。後悔未満の感情が、胸の奥をじりじりと焦がしていく。