岩波書店自然科学書編集部

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シリーズ大学数学の羅針盤③『確率・統計』(松家敬介)が本日刊行です! 試し読みなどは、こちらから→ iwnm.jp/029973 データ分析も、人工知能もまずはここから。確率論の基礎をわかりやすく解説し、記述統計や統計的推測へとつなげる。解答つきの演習問題でさらに深く学べる入門書です。

確率・統計/松家 敬介|大学数学の羅針盤 - 岩波書店

確率論の基礎をわかりやすく解説し、記述統計や統計的推測へとつなげる。解答つきの演習問題でさらに深く学べる入門書。 松家 敬介 著

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2003年夏に群馬の開業医・青山美子先生から,ネオニコチノイドというニコチン受容体に作用する農薬が散布されていると聞いた時,耳を疑った。我々麻酔科医は全身麻酔に際し筋弛緩を得るためニコチン受容体に作用する薬を用いる。中には不整脈を誘発しやすいもの,繰り返し使うと作用の消失に長時間を要するものもある。そんなものを空から撒いているというのだ。前代未聞の人体実験が進行する中,青山先生との共同研究が始まった。 平 久美子「農薬と昆虫,そして私たち」

『科学』2026年10月号特集,平久美子氏論文の冒頭部分『科学』2026年10月号表紙

昆虫の細胞内には,宿主の生殖を巧みに操作し,その結果として自らの繁栄を実現している様々な微生物が存在している。これらの微生物は,どのような仕組みで宿主の生殖を操作するのか。その能力はどのように進化してきたのか。そして,こうした微生物による生殖操作は,昆虫の進化にどのような影響を与えてきたのか。さらに,この能力を利用して,害虫や益虫を人為的にコントロールすることは可能なのだろうか。 陰山大輔「共生微生物が操る昆虫の生殖」

『科学』2026年10月号特集,陰山大輔氏論文の冒頭部分『科学』2026年10月号表紙

害虫を殺す天敵を利用すれば,農薬に頼らず害虫を抑え続けられる――そう考えたくなる。しかし,天敵もまた進化する生物である。寄生される宿主は抵抗性を高め,天敵はそれを突破する能力を進化させる。しかも,その攻防の行方は気温や食物,共生微生物,個体群のつながりによって変わり得る。果たして,天敵を「効く生物農薬」として利用するだけで,長期的に安定した防除は実現できるのだろうか。本稿では,宿主と天敵(特に寄生蜂)の共進化を,抵抗性とそのコスト,環境による選択圧の変化,共生微生物との連携防衛,そして…… 津田みどり「宿主と寄生蜂の共進化――抵抗性,環境,共生微生物から持続的な生物的防除へ」

『科学』2026年10月号特集,津田みどり氏論文の冒頭部分『科学』2026年10月号表紙

稲の大害虫イネウンカには,トビイロウンカ,セジロウンカ,ヒメトビウンカの3種がいて,海外から日本に飛来し被害をもたらす。例えば江戸時代の「享保の大飢饉」は,西日本では主にトビイロウンカが原因と考えられており,現在も防除が困難な害虫である。イネウンカの防除が困難な理由の一つが,様々な殺虫剤に抵抗性をもつことである。ここでは,抵抗性問題に関する研究成果と,被害を防ぐための取り組みを紹介する。 真田幸代「海外から飛んでくる殺虫剤抵抗性イネウンカ――海外飛来性害虫防除のための取り組み」

『科学』2026年10月号特集,真田幸代氏論文の冒頭部分『科学』2026年10月号表紙

ヒアリが日本侵入。そんなニュースを耳にしたのは2017年初夏,偶然にも私はテキサスでヒアリを調査中だった。帰国するや,連日「殺人アリ」という名のもとでの報道合戦を目にし,アリ用殺虫剤が飛ぶように売れ,保育園が閉鎖されるなどのパニックも起きていた。それから10年目の今日,マスコミでヒアリがニュースになることはほとんどない。しかしヒアリ問題は決して解決済みでない。この機会に「ヒアリ騒動」を振り返ることで,侵略的外来生物と対峙する際に科学者と行政が忘れがちな観点を整理したい。 辻 和希「ヒアリが教える侵略生態学」

『科学』2026年10月号特集,辻和希氏論文の冒頭部分『科学』2026年10月号表紙

現在,害虫防除や科学研究の現場では,膨大な数の害虫が数え上げられている。数えることは人間にとって単純で原初的な行為のように思える。だが実際には数えることは,高度な科学技術と結びつきながら,人間と自然のあいだの複雑な関係をつくりあげているのだ。 瀬戸口明久「害虫を数えることの環境史」

『科学』2026年10月号特集,瀬戸口明久氏論文の冒頭部分『科学』2026年10月号表紙

人やモノの国際的な往来が拡大するにつれ,海外からの病害虫の侵入リスクは年々高まっている。中でも世界的な重要害虫として知られるミバエ類の入り込み事例は,件数の急増のみならず,地域的な広がりも見せている。想定していなかった新たな種の侵入も相次いでおり,看過できない脅威となりつつある。本稿では,かつてミバエ類を根絶させ,今も再定着を阻止するために用いられている防除技術とその発展の試みについて紹介する。 本間 淳「ミバエ根絶の科学」

『科学』2026年10月号特集,本間淳氏論文の冒頭部分『科学』2026年10月号表紙

害虫は人類にとって厄介な存在である。しかし彼らは同時に,進化という現象を最も身近な場所で見せてくれる生き物でもある。農薬抵抗性,不妊虫放飼への応答,体内時計や配偶行動の変化――害虫たちは人間活動によって生じた環境変化に適応し続けている。本稿では,ウリミバエやコクヌストモドキを例に,害虫から見えてくる進化のダイナミズムを紹介したい。 宮竹貴久「害虫からみる身近な進化」

『科学』2026年10月号特集,宮竹貴久氏論文の冒頭部分『科学』2026年10月号表紙

月刊誌『科学』2026年10月号は9/25発売。 店頭には月末ごろ並びます。 今回の特集は「生物学者,害虫に学ぶ」です。 --- 農業や産業に大きな損害を与え, ときに人にも危害を加える害虫。 そのような虫たちをいかに管理し,被害を防ぐか。 その答えを求めて,生物学者は, 進化や生態,遺伝,生殖といった生き物のしくみを読み解いてきた。 害虫対策の技術には,生物学のエッセンスが深く息づいている。 --- このあと,特集「生物学者,害虫に学ぶ」の各記事を紹介します。

『科学』2026年10月号表紙『科学』2026年10月号目次

【特集】生物学者,害虫に学ぶ
害虫からみる身近な進化……宮竹貴久
ミバエ根絶の科学……本間 淳
害虫を数えることの環境史……瀬戸口明久
ヒアリが教える侵略生態学……辻 和希
海外から飛んでくる殺虫剤抵抗性イネウンカ――海外飛来性害虫防除のための取り組み……真田幸代
宿主と寄生蜂の共進化――抵抗性,環境,共生微生物から持続的な生物的防除へ……津田みどり
共生微生物が操る昆虫の生殖……陰山大輔
農薬と昆虫,そして私たち……平 久美子

[巻頭言]
ジャン・ペランと原子論の時代……小島智恵子

[解説]
量子反証可能性と量子現実性――量子計算機が拓く新たな科学と経験の世界……江守陽規・近藤和敬・田中彰吾・柚木清司・小澤正直・入來篤史
濡れ方は一つではない……天神林瑞樹・荒井俊人
「静寂」 を作り出すコウモリの超音波戦略……吉田創志・飛龍志津子
なつき行動とは何か……小出 剛
寄生体との共進化の行き着く先は?――自己複製RNA の進化実験による実証……市橋伯一

[新連載]
月の起源はなぜ難しいのか①似すぎた天体の謎……是永 淳

[連載]
科学者の現代史② 絶対王制,立憲君主制下の学術研究:イギリスの場合……兵藤友博
因果をめぐる7の視点⑦ 論理学者の考える物事の筋道――パラレルワールドで考える?……大森 仁
野球の認知脳科学⑰ ばらつきは悪か?……柏野牧夫
科博のお宝コレクション
⑫人骨が語る,人骨しか語れない歴史:江戸時代人骨コレクション……坂上和弘
⑬普遍的な知恵と科博の歴史を伝える模型たち:機構模型コレクション……河野洋人・吉村友紀

[フォーラム]
金平糖の科学:角はなぜできるのか……福森一郎・ルイ M. ポンテ

次号予告

シリーズ大学数学の羅針盤 第3回(第3巻) 松家敬介『確率・統計』(9月16日刊行) iwnm.jp/029973 見本が届きました! データ分析も、人工知能もまずはここから。確率論の基礎をわかりやすく解説し、記述統計や統計的推測へとつなげる。解答つきの演習問題でさらに深く学べる入門書です。

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9/9の北海道新聞朝刊(函館・渡島・桧山地域面)にて、三上修『古文鳥類学――平安貴族が愛でたのは本当にホトトギスなのか』(iwnm.jp/029743)を紹介いただきました! 「古典と鳥がかけ合わされた新著に三上教授は「新たな視点を楽しんでほしい。古文をもう一度見返したくなるかもしれません」と紹介する。」 ☞ www.hokkaido-np.co.jp/article/1367...

江差追分のカモメ 何カモメ? 函教大教授・三上さん「古文鳥類学」刊行 時代や季節、情感調査 「新たな視点を楽しんで」:北海道新聞デジタル

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量子コンピュータ・量子通信・量子暗号の研究開発において,量子情報理論は必要となる情報量を与え,それを道標として理論・システムを構築する礎となっている。とくに情報科学の観点からは,今までにない能力を量子情報処理が提供する「量子優位性」の源泉となり,社会を変革する力となっている。本稿では,量子通信路容量を軸に基礎的な考え方を紹介し,最先端における展開について述べる。 今井浩「情報科学からみた量子情報理論」

『科学』2026年9月号特集,今井浩氏論文の冒頭部分『科学』2026年9月号表紙

量子コンピュータは社会を一変させる技術として期待されている。過去30年で数多くの量子アルゴリズムが開発され,暗号やシミュレーションへの応用が示されてきた。しかし,その成果が社会をどのように,どの程度変えるのかについては,依然として明確な答えは得られていない。本稿では,その成果と限界を踏まえつつ,現状と展望を論じる。 フランソワ ルガル「量子アルゴリズムの可能性」

『科学』2026年9月号特集,フランソワ・ルガル氏論文の冒頭部分『科学』2026年9月号表紙

物理学者リチャード・ファインマン氏は,1959年に行われた講演において次のような発言を残している。「私の知る限り,物理の原理は物質を原子1個1個のレベルで操作する可能性を否定していない。」今や人類,少なくとも科学者は,この発言に驚きを覚えない程度に物質を原子レベルで操作することができる。この記事では,中性原子量子コンピュータという,原子を個別に宙に浮かべ制御することで量子力学的な計算を行うマシンについて解説する。 富田隆文「中性原子量子コンピュータ――原子を自在に操る計算機」

『科学』2026年9月号特集,富田隆文氏論文の冒頭部分『科学』2026年9月号表紙

近年の技術的進展により,量子計算機の研究開発は小規模な原理実証から大規模な計算機システムとしての実装を考える段階へ移りつつある。本稿では「量子計算の基礎研究の成果を活用し実用的な計算機を実現するために何が必要なのか?」という問いを切り口に,量子デバイス,計算機システム,ソフトウェアの三つの観点から量子計算機の現状と課題を解説する。 鈴木泰成「計算機システムとしての量子計算機――小規模な原理実証から大規模な計算機システムへ」

『科学』2026年9月号特集,鈴木泰成氏論文の冒頭部分『科学』2026年9月号表紙

「量子コンピュータは実現したのか」。これは,いつも私が聞かれる問いである。この問いには,つい意地の悪い答え方をしたくなる。すでに実現しているとも,あるいはまだ実現していないとも言える。どちらか一方が正しく,もう一方が間違っているのではない――量子力学における重ね合わせのように。何をもって「計算機」と呼ぶのか,何をもって「実現」と呼ぶのか,見方を変えると,答えも変わるのである。 藤井啓祐「量子コンピュータは実現したのか――その科学的・社会的インパクト」

『科学』2026年9月号特集,藤井啓祐氏論文の冒頭部分『科学』2026年9月号表紙

月刊誌『科学』2026年9月号は8/25発売。 店頭には月末ごろ並びます。 今回の特集は「量子コンピュータという思想」です。 --- 量子コンピュータの研究開発は, 原理を実証する段階から, 実用的な大規模システムの実現を目指す局面へと進みつつある。 実現に向けて,いま何が求められているのか。 そして,実現した先にはどのような可能性が広がっているのか。 技術の最前線をたどるだけでなく, その基礎にある思想にも目を向けながら, 量子コンピュータの本質を問い直す。 --- このあと,特集「量子コンピュータという思想」の各記事を紹介します。

『科学』2026年9月号表紙『科学』2026年9月号目次

【特集】量子コンピュータという思想
量子コンピュータは実現したのか――その科学的・社会的インパクト……藤井啓祐
計算機システムとしての量子計算機――小規模な原理実証から大規模な計算機システムへ……鈴木泰成
中性原子量子コンピュータ――原子を自在に操る計算機……富田隆文
量子アルゴリズムの可能性……フランソワ ルガル
情報科学からみた量子情報理論……今井 浩

[巻頭言]
量子コンピュータとの出会い……根本香絵

[解説]
ニホンオオカミはなぜ謎多き動物と言われるのか……石黒直隆
ウナギの狩りは水陸両用……脇谷量子郎
より自由でより正確なゲノム編集を目指して……大西康介・濡木 理
ゲルはなぜやわらかい?――エントロピー弾性と負のエネルギー弾性……作道直幸
ハンタウイルス感染症の疫学とウイルス・げっ歯類間の相互関係……苅和宏明

[新連載]
科学者の現代史1 アカデミズムの軌跡――学術の府の原風景と19世紀の新展開……兵藤友博

[連載]
科博のお宝コレクション
10市民研究家の情熱を力に:「おしば展」のために収集された植物標本……海老原 淳
11日本の科学の歩みと分岐点を記録する:理工学分野の科学者たちの活躍を伝える資料群……室谷智子
カミオカンデはいかに生まれたのか――基礎科学の曲がり角に立って12(最終回) 最後まで打席を降りなかった親分……古川雅子
野球の認知脳科学16 配球の論理……柏野牧夫
因果をめぐる7の視点6 神経科学における因果――確実なことはどこにあるのか?……原 塑

[フォーラム]
ツキノワグマ大量出没――過疎化がもたらすクマ超高密度時代……大西尚樹
科学技術分野におけるジェンダー平等の現在地とこれから……河野銀子

次号予告/訂正

佐藤雅彦さんの8月1日の講演会「目で見る算数」は東大安田講堂が満席になる大盛況。講演中に出された問題の答えがわかると、お子さんたちが元気に声を出していました。 ただいま準備中の『解きたくなる数学』シリーズ第3弾に収録予定の問題の紹介も。 オンライン配信は8月16日までアーカイブ視聴できますので、会場に行きたかったけど行けなかったという方は、ぜひこちらから☛ teket.jp/17624/67204

<オンライン配信> 佐藤雅彦 講演会「目で見る算数」@東京大学 安田講堂【一般財団法人佐藤雅彦教育文化財団】

【電子チケット】8/1数学って、こんなに面白かったんだ。[オンライン 日本][2026/8/1(土)開始: 14:30]

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8月2日の朝日歌壇で永田和宏さんの選んだ一首に、 数学に初めて心ふるえしは高二の夏の解析概論 (東京都)青木 公正 があると教えてもらいました。 選評は「青木さん、高木貞治著の数学のバイブル。私の持っているのはまだカタカナ書きの一冊だが、これを高校で読んだとは驚き。」 現在は『定本 解析概論』(2010年刊)となっています。 iwnm.jp/005209

定本 解析概論/高木 貞治|自然科学書 - 岩波書店

解析学の不動の名著を読みやすく組み直した定本.黒田成俊による高木函数の解説を補遺として加えた. 高木 貞治 著

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『科学』2026年8月号から、川原繁人さんの新連載「生成AIと研究倫理」が始まりました(「フォーラム」欄の不定期連載)。今年の5月号・6月号でお届けしたテーマのシリーズ化です。どうぞご期待ください。 今回のトピックは「査読の機密性は守れるか――AIの「そそのかし」に関する実験報告」 5月号「生成AIが研究不正を加速させる可能性について」 6月号「生成AIは研究不正をどこまで拒否するのか――倫理的ガードレールの実験的検証」

岩波書店自然科学書編集部@iwanami-ns.bsky.social · 2mo ago

『科学』2026年8月号の見本が届きました。 発売は明日です! www.iwanami.co.jp/book/b101937...

『科学』2026年8月号の見本

これまで科学の進歩をリードしてきた米国には,信用と包容力があった。それが過去のものになりうる事態が2025年初めから続いている。新型コロナウイルス感染症のパンデミックから,科学者に不信感を抱く人々の支持を受けて大統領になったトランプ氏は,科学的検証を無視し,米国の感染症関連機関に混乱を招く政策を始めている。科学の正当性は多数決で決まるものではない。そこに危機が迫っている。 小柳義夫「感染症研究と対策の混乱」

『科学』2026年8月号特集,小柳義夫氏論文の冒頭部分『科学』2026年8月号表紙

地球観測はグローバルな環境変動を理解する基礎であるが,それは決して容易なことではなく,信頼性の高い観測が求められる。そのためには国際的な役割分担と連携が欠かせず,日本と米国はこれまで密接に協力してきた。2024 年の政権交代以降,気候変動や地球環境の研究で世界をリードしてきた米国で,主要研究機関が閉鎖もしくは研究が中止されるかもしれないというニュースが流れ,世界中の研究者が懸念を抱いた。地球観測においては,特に継続と国際的な協力が必要不可欠である。本稿ではまず,地球観測がどのような営みであり,なぜ継続性と国際協力が不可欠なのか…… 谷本浩志「最近の米国の科学技術政策と地球環境観測」

『科学』2026年8月号特集,谷本浩志氏論文の冒頭部分『科学』2026年8月号表紙

宇宙望遠鏡や素粒子加速器などの大型科学計画は,科学者の構想のみで実現されるものではない。特に米国では,研究者コミュニティ,行政府,そして議会がそれぞれ異なる役割を担い,予算編成と制度的手続きの複雑な過程を経て,初めて計画が動き出す。本稿では,米国における大型科学計画の成立過程をたどり,その制度的特徴を説明するとともに,日本への示唆を考える。 常田佐久・進藤美和「大型科学計画は誰が決めるのか――米国科学政策の制度と政治」

『科学』2026年8月号特集,常田佐久氏・進藤美和氏論文の冒頭部分『科学』2026年8月号表紙