ました。

@mentaikomochi.bsky.social

pkmn 腐有(🐦‍⬛右) 落書きとかゲームの話とか色々。成人済 ※絵の無断転載・使用禁止※ Please do not use the picture I drew※

若ジプカラの初ちゅー(3/9) まだあまり手直しできてないんですが、ここまででも読めるのでポイっとします 続きは初えっちです 来週UPできたらいいな❣

印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「@hacosf6」と記載されています。
以下は本文の内容です。

「なあ。キスせな大人になれへんって、ホンマ?」
 ポツリと零したカラスバを、ジプソは丸い目を剥いて覗き込んだ。時は夕暮れ。狭いアパルトマンの一室に、茜色の西日が真っすぐと射し込んでいる。夏の暑さが残るその一室で、ふたりは茶を飲みながらソファに並んでいた。
 ジプソとカラスバの関係は、小さなうねりを伴いながらさまざまに変化してきた。そして今、最も穏やかなものになっている。常に行動を共にするほどでないにしろ、必要に応じて連絡を取り合い、時には並んで食事をする。夜はゴーストタイプが顔を出すよりも早くさよならを告げ、次に会う時をどちらも淀みなく信じている。そんな「友人」と呼べるような関係性を築いてしばらく、カラスバは先のような言葉をひとつ呟いたのだった。
 一体どこのどいつが吹き込みやがったのかと、ジプソは彫の深い顔に皺を寄せた。どうやら、カラスバに思いを寄せる子どもが、彼と懇意になりたいと必死に頭を捻った結果らしい。しかし、カラスバはその言葉のガワだけを持ち帰った。誰よりも信頼できるジプソに尋ね、その正誤を確かめるためだ。
 ジプソからの質問攻めを躱し、「さあ、次はオマエがオレの質問に答える番や」とカラスバは薄い胸を張った。初めの頃は憎たらしいばかりだった黄色い瞳に見返され、ジプソは厚い唇をムググとつぐむ。
 世間では、ミアレ人にとって恋愛は嗜みであるかのように語られている。しかし、それは真実ではない。恋愛は人生に必要不可欠な行為/状態ではないし、生涯独り身を貫く者だって数多く存在する。「大人になる」という言葉を身体的な成熟とするならば、他人とのキスは絶対条件にならない。つまり、カラスバの問いに対する答えは「NO」が正解だ。そんなことを気にする暇があるなら、明日の仕事のことでも考えろと言うべきだ。
 しかし、「大人になる」という言葉が別の意味だとしたら、ジプソの回答は一八〇度変わる。それが身体的ではなく、恋愛的なステップアップの意であるとすれば、彼はその問いに対し「YES」と答えるはずだ。
 きっと、カラスバに突っかかってきたヤツはわざと曖昧にしやがったんだ。これこそ子供だましってやつだ、とジプソは毛むくじゃらの腕を組む。そうやって問いかけの意図を理解しながらも、ジプソは依然、カラスバの問いに答えられずにいた。
「そない難しいことなんか?」
 長い沈黙に飽きたらしい、カラスバの眉間に薄い皺が寄る。
「いや、そういうんじゃねえけど……」
「ほな教えてや」
 さらりと宣うクソガキへと、ジプソは長い溜め息をつきながら向き合った。
「……正直に言や、身体がデカくなるって意味での成長にキスは必要ねえ。そんなんしなくとも、飯食ってしっかり寝りゃ、身体はデカくなるからな。ただ、別の側面から言えば、人生の糧になるモンだとは思うぜ。もしそういう意味で早く大人になりてえんだったら……アー……お前の思う『信頼できる相手』にお願いして、一足早く大人になるのもアリなんじゃねえの」
 これは、賭けだった。ジプソの握る手には、ヌルつくほど汗が浮かんでいる。
 ジプソには、自らがカラスバにとって最も信頼できる人間であるという確信があった。カラスバが自分以外にちょっかいをかける相手も、気軽に家へ忍び込めるような相手もいないと知っていたからだ。恐らく、いや間違いなく、このミアレの中で最もカラスバに懐かれている。とは言え、こいつがキスしたいと思える相手なのかは別の話になっちまう。
 どうだ? どうする? と、頭皮を伝う汗を感じると同時に、ジプソは自らの焦りを自覚した。なに必死になってんだよ俺は。まるでコイツのことが、好きで好きで堪らねえみてえじゃねえか。カラスバの、初めてが、俺だったら、――なんて。そんな妄想を、頭を振って必死に打ち消す。