いつまでも正解のない問いとやらに向き合っていた。理解、などと。理を解する、などということの傲慢を、私は恥じるばかりだ。読み解くこともままならない真実を髄とし、生きる限り横たわり続ける欺瞞を椎として、手足を失くしたまま藻掻きながら、不条理と向き合っている。彼は曖昧を嫌った。私は、僕は、のっぺりとしたグレーに塗り固められた土塊を無心に剥がしていく。構造を剥ぎ続けた先に正解がないとしても、我々の本質は逸らさないことなのだ。
僕があなたを想うほどに、ただ僕があなたを救うことで、僕自身が救われるのを願っていただけだったということを、血色のない彼女の頬を見る度に思い出す。思い出したとて、心にあるのは過ぎ去った感触だけだ。フィルムを持ち上げればセピア色にしている埃が舞い上がり、一部はべたついているのに気づく。純な心と言ってくれるな、邪な、否。死ぬには美し過ぎる理由だった。救われたかった一人の男が見ようとした夢。僕は、俺は、そんな彼のことを、彼が居なくなった世界で一番に愛していた。