#140字小説 姉はかぐや姫だった。爺ちゃんが竹藪で拾ってきたのだ。地味揃いのうちの一族の中で姉の美貌は浮きまくっていた。成長して、赤ん坊であった姉を捨てた母親が判明したり何やかやあったが姉は月には帰らなかった。「あんた彼女いないの? 好きな子いるんなら告りなよ」俺に無理難題は言うが。
すわぞ
@suwazo.bsky.social
140字小説を書きます。『再掲』と付いてるものは、X(Twitter)でも前にポストしたものです。 X、mixi2、タイッツー等もIDは同じsuwazoです。
#140字小説 百年使われた道具は付喪神になる。まさか俺がそんなものになるとは。そもそも同じパソコンを百年も使う人間がいるなんて普通思わないだろ。百年保つパソコンの方もどうかしている。俺だが。そして俺は半ば滅びかけの人類と銀河にはばたく機械たちの橋渡しを受け持つことになったのである。 ※再掲です
魔物「フフ……私を倒そうとしても無駄だ……なぜなら私は私の心臓を他の場所に隠しているからだ……」 勇者「何だと!」 魔物「ちなみに胃袋も別の場所に隠しているので、お菓子もケーキもまさに『甘い物は別腹』としていくらでも食える……」 勇者「何と恐るべき敵だ!」 仲間「そうか?」
読んだことは一度もないけど『文庫本の後ろの方の他の本の紹介のページでタイトルと数行のあらすじは何度も何度も目にしたことがある』本 とかあったな
#140字小説 今どき沢山の蛍が見られる秘境だと、聞いていた通りだった。美しい光景だった。「ここの蛍は死なんのです」案内人の男が言った。大昔、この辺りに人魚がいまして。孤独を慰めるため、自分の血肉で死なない蛍を作ったのです。男は続けた。「人魚が死んだ後も、死ねないのです。蛍も。私も」
#140字小説 転校生がくだんだった。くだんって本当にいるんだと驚いた。みんな遠巻きにする中、思い切って話しかけたら意外とサッパリした子で、すぐ仲良くなった。「明日も暑いかなあ」「っ」話の途中でときどき口をつぐむ。「あ、ごめん」「大丈夫大丈夫」うっかり予言をさせてしまうところだった。 ※再掲です
#140字小説 気楽な立場をいいことに学問三昧読書三昧だった末王子が突然妻にすると言って連れてきたのが異国の女でしかも浜辺で拾ったという。皆が猛反対したが老いた前王が「その娘を大事にしてやれ」と許した。事実二人は仲睦まじく暮らした。以後、国の船が嵐に沈むことはなく豊漁が続いたという。 ※再掲です
#140字小説 月って昼間にも出てるんですよ。太陽が明るすぎて見えないだけで。あなた、夜になると女のすすり泣きと呪詛の声が聞こえるとおっしゃいましたね。昼間は気づかないだけです。今もあなたの周りに絶えず響いてますよ、怨みと憎しみの声が。あなた、一体何をしでかしたんです? ※再掲です
#140字小説 犬の霊を見たことがある。地下鉄の人混みの中で、得意そうな顔で跳ねるように歩いている柴犬。公園を散歩しているみたいに楽しそうだった。犬のそばにはスーツにスニーカーの青年がいて、犬と共に向こうに消えていった。彼自身は知らないだろう。犬が今も飼い主と散歩し続けていることを。
#140字小説 遺跡発掘現場で出てきた人骨が外気に触れるとみるみる肉を取り戻し瑞々しい肌が生まれきらきらした瞳を開いた。不死者だったらしい。そんな存在がなぜ土中に埋まっていたのか……聞くまでもなかった。蘇らない別の人骨をぎゅっと抱いて離さなかったから。傍にいたかったのだろう。ずっと。 ※再掲です
「そこになければないですね」 「ないはずなのに見えるんですよ……恨みがましい女の顔が……」 「いなければ『無い』んです! 見てはいけません!」 「でも……ああ……こっちに来る……来るなァァ……!」 「……取り込まれてしまったか」 「あのー店員さん、ゴミ袋ってどこですか?」 「アッハイ」
#140字小説 「私にはぬいぐるみの声が聞こえるんだよ」「嘘だ」「だってぬいぐるみのお医者さんだからね」手渡されたクマのぬいぐるみの、破れた腕を縫いながら言う。「クマさんはにんげんの病院に行きたいって言ってるよ。君を連れて」「嘘だ」「君の腕を見せて」袖をめくると、火傷の痕が幾つも。 ※再掲です
#140字小説 「人魚って女しかいないと思ってた」「そんなことないよ、見てわかるだろ」「人魚ってみんな生まれつき人魚なんだと思ってた」「そんなことないよ、見てわかるだろ」「俺のこと嫌いだと思ってた」「そんなことないよ、僕は君だから会いに来たんだよ」昔いなくなった同級生が海面で笑った。 ※再掲です
#140字小説 「ここには七人の小人がいると聞いていたが」森に迷い込んだ王子にお茶を出し、小人たちが答えます。「最近一人増えまして」「今は八人」「楽しいよ」「賑やかで」「自由で」「何も怖くない」そうかと王子は微笑みます。この中の誰がそうかはわからない。けれど私の姫はここで幸せなのだ。 ※再掲です
#140字小説 呪いで姫と共に百年の眠りについた城に、魔女ネットワークから送られてきたのは人魚の少女だった。「一緒に眠らせてあげて。目覚めて全てを思い出したら泡になってしまうから」一体どうすればいいの? 「哀しい夢を見て泣いていたら涙を拭いたあげて。それから夢の中で友達になってあげて」 ※再掲です
#140字小説 ドラゴンは人が死んだら行くという天国に行きたくて、飢えて死にかけた人の孤児を拾いました。魂が飛ぶのを追いかけようと思ったのです。ですがせめて最後にと水を飲ませてやると、「……ありがとう」孤児の声に不思議な気持ちになりました。そしてなぜか食べ物を探しに行きました。 ※再掲です
人の言葉を額面通りに受け取る特性の人(私もわりとそう)、京都で育ったらぶっ壊れない?(あそこまでいったらパターン化して記憶して対応できるんかな)
#140字小説 知り合いに兼業の風鈴職人がいる。何と兼業かというと除霊師だか何だかで、日本のどこでも呼ばれれば飛んでいく。彼の作る風鈴は独特で風が無くても鳴る。チリン、チリン。美しい音色で。「できるだけ優しくあたたかな家族に渡すんだ」と彼は言う。鳴らなくなったら成仏した証だそうだ。
山奥で遭難したら、いかにも郊外の住宅地の真ん中にありそうな小さな一戸建て2LDKが突如見えてきて、幻を見てるのかと思ったら、数年前に祠を壊した奴がお詫びに建てた新しい祠だった話
#140字小説 百物語をしたあと亡き奥さんの霊が出た体験をした友人が、僕に『できる限り短い怪談』を求めてくるようになった。彼女に会いたいらしいが、長ったらしい怪談を百も語るのはなかなか難儀らしい。なので僕はせっせと彼と奥さんのために超短編の怪談を創作しているわけなのである。 ※再掲です